向かい合う園舎のふるまい
沖縄本島北部の名護市に位置する敷地は、本館である既存園舎と道路を挟んで向かい合う位置にある。本計画は、既存園舎で運営されている保育園から、児童数を増員して幼保連携型認定こども園へ移行することを目的とした別館の新築計画である。
既存園舎は、前面道路から一段上がった位置に保育室や園庭が配置され、南側に広がる園庭やテラスを中心に、子どもたちがのびのびと活動できる開放的な保育環境を形成している。約30年にわたり地域に親しまれてきた既存環境との関係性を前提としながら、新たな保育機能を拡張する別館を計画した。昼食や送迎時には既存園舎側での待機を想定していることから、別館には自ら園舎間を移動し活動できる3〜5歳児の保育室と小規模な事務室を計画した。
計画において最も重視されたのは、園児定員に直結する保育室面積の最大確保であった。検討の結果、4・5歳児保育室を広く確保できる2階平面を先行して決定し、1階には二つの道路に面する日照条件の良い位置に3歳児保育室を配置した。また、既存園舎の事務室と対面する位置に事務室を設けることで、園舎間の連携や見守りにも配慮している。
加えて、東側道路幅員による斜線制限に対応するため、建物高さを抑える必要があった。
東側の建物位置を道路からセットバックさせることで法規条件に応答するとともに、その余白を、既存園舎の園庭から戻る子どもたちの手洗・足洗場へと至るアプローチ空間として活用している。
さらに、建物外周部には金物手摺を設けることで、地域に対して開放的な環境を確保するとともに、子どもたちの活動や園舎の気配が地域へと緩やかに開かれる環境を目指している。手摺によって形成される外周空間は、園舎を包み込むような境界として機能し、子どもたちの活動空間と地域環境とのあいだに緩やかな緩衝帯をつくり出している。
機能的要請や法規的制約から導かれたシンプルな箱型建築に対し、子どもたちの安全性や園舎間の連携といった保育施設としての振る舞いを、建築のかたちや使われ方の中に内在させることで、子どもたちを見守る保育環境を整備している。

所  在:沖縄県名護市大中
用  途:幼保連携型認定こども園
建築面積:184.56㎡
延床面積:306.66㎡(92.8坪)
竣  工:2025年9月