おね線をずらした赤瓦屋根
浦添大公園の新たなメインゲートとして、2019年延長開通予定の沖縄都市モノレール新駅予定地に隣接して計画された、公園管理事務所、トイレ、展示やワークショップ等に使用する多目的室を備える施設である。
「おね線をずらした赤瓦屋根」は、景観形成重点地区へ配慮して採用した赤瓦屋根から発想した建築形態コンセプトである。L字型平面にかかる既成の勾配屋根の「おね線」(棟)を回転させずらすことで、立面、断面に大きな変化を与えた。
赤瓦屋根とする一方、あえて軒の出がない立面をつくり、屋根面と壁面の異なる形状を明瞭に現し、木造伝統民家とは異なる形態を示している。さらに、壁内側に在来の軒下空間を保持させたことで、屋根の下は戸内外一体で大きな軒裏空間のようになっている。
「おね線」の起伏は、天井の起伏となり、矩形の壁はどこにも現れない。その為、諸室の平面形状と配置はシンプルにし、実用的で明解な構成とした。南側駐車場からゲートをくぐり軒下空間であるエントランス広場を起点にトイレ、多目的室、管理事務室が利用できる。天井は室内外統一して木製ルーバー仕上げとし、瓦の葺き方向に沿った直線が、勾配の変化を強調し、軒裏空間を一体的にする。
屋根は、コンクリートスラブに木下地を組んで瓦を葺いた、スラブと瓦の間に空気層を確保したダブルルーフである。瓦は日射を遮蔽し、空気層の熱を「おね線」から排気する。雨水は穴空き瓦を抜け、スラブ上を伝い、躯体に埋設した樋から排水する。
沖縄では、観光景観形成や地域へのアイデンティティから、コンクリートスラブに赤瓦を載せることは珍しくない。この慣例を積極的に受け入れながらも、新しい建築の形態と空間の創造を試みた。

名 称:浦添大公園南エントランス管理事務所
所在地:沖縄県浦添市仲間
用 途:事務所
竣 工:2013年9月